HOME » トピックス

トピックス

ミニ講座「中小企業の脱炭素経営について」を開催します

2023年 3月 7日

横浜グリーン購入ネットワークでは、会員企業支援として、ミニ講座を開催しています。

本年度は3月17日金曜日11時より、「中小企業の脱炭素経営について」と題し、オンライン講座を開催することになりましたのでお知らせいたします。

講師に環境省にて中小企業の脱炭素活動支援をされている平尾様をお迎えし、中小企業の取り組むべき脱炭素活動について紐解いていただきます。

今回は、横浜グリーン購入ネットワークの活動を広く皆さまに知っていただくため、会員以外の方も無料でご参加いただけますので、ぜひ皆さまお誘いあわせの上、お申込みください。

皆さまのご参加をお待ちしております!

e884b1e782ade7b4a0e7b58ce596b6e381abe381a4e38184e381a6

会員企業を紹介します⑤ダイイチ

2023年 2月 3日

横浜グリーン購入ネットワークの会員企業を紹介します。取材は記者の春名さんです。

第4回目はのダイイチ様。「ユニフォームを通じて働きがいを」企業応援プロジェクトが好評のユニフォームメーカーです。

ユニフォームを通じて働く人々をスター選手にする―。そんな目標を掲げ、SDGsの取り組みを進めているのがユニフォームの企画・製造・販売のダイイチ(横浜市中区宮川町)だ。環境や社会に配慮したユニフォームの製作や販売はもちろん、回収した服から服を作る循環型リサイクルまで取り組んでいる。花本高志社長に話を聞いた。
始めにダイイチの歩みを振り返る。
ダイイチは1951年、創業者の鈴木米蔵、喜代夫妻が「洋裁店すずや」を開店したのが始まり。喜代さんは文化服装学院で学んだ経験を生かし、千葉県木更津市に小さな洋裁塾を開いた。米蔵さんは、依頼を受け、木更津から横浜まで来て、白衣を売り歩いていた。
その後、横浜に拠点を移し、白衣の製造販売を手掛けるようになり53年、第一被服有限会社を設立した。時代は衛生向上のため、理容店や飲食店などへと白衣ユニフォームが広がりはじめた頃だった。
ある日、店舗のショーウィンドーでユニフォームを着たマネキンを見た在日米軍の将校クラブ総支配人が訪ねてきた。「将校クラブのウエートレスのユニフォームはアメリカ製で値段も高い。日本で同じようなものが作れないか」と。
スタイルブックの写真を元にデザインを起こし、ユニフォームを作り上げた。その仕上がりを気に入ってもらい、新しい仕事につながっていった。お客様と真摯に向き合い、課題をクリアできたからこそ、喜んでもらえたのだろう。
戦後の激動のなか、横浜の地域とともに歩み70年に社名を「ダイイチ」に変更。お客様のことを「第一」に考える精神は引き継がれていった。
「強制労働はないか」「労働、安全衛生に関する方針は」。花本社長は5年ほど前、顧客企業から海外の製造委託工場に対してそんな問いを投げ掛けられた。
商品が生み出されるまでの労働環境を重視する世界の潮流が始まっていた。「これから取引していくためには、顧客の言う通りにしていくべきだ」。SDGsに取り組むきっかけとなった。
さらにSDGsを「自分たちの経営に生かすもの」として考え始めたのが3年前だった。
リサイクル事業の「JEPLAN」=旧日本環境設計=(東京)が手掛けるシステム「BRING」を使って、回収・リサイクルに取り組んでいた。
貸与年数3年ぐらいで廃棄されるユニフォームを回収、リサイクルして再度市場に循環させるもので、回収量は毎年30%~40%ずつ伸びている。
また、公正取引を証明する「フェアトレード認証」や繊維の安全性と信頼性を証明する「エコテックス認証」などを取得した商品も増加。使用済みのペットボトルから生まれる再生ポリエステル繊維やサトウキビなど植物由来繊維など選択肢も増えてきた。
同社は、かながわSDGsパートナーやヨコハマ型地域貢献企業で最上位クラスを取得した。
このように個別の取り組みは行われていたが、経営実装へ拍車を掛けることになったのが、2020年2月、社内に立ち上げた「インパクトマネジメント」プロジェクトだ。
「ダイイチのユニフォームを着用する全ての人々が誇りと喜びを持って働く」をビジョンに定め、それを実現するための道筋を、バックキャスティングで示していった(図を参照)。

図_自社ビジョンを実現するためのプロセスを表したロジックモデル

図_自社ビジョンを実現するためのプロセスを表したロジックモデル

働く人の誇りと喜びを、ユニフォームでどういう効果を出せば実現できるか。チャート図にして書き出していった。
「環境に貢献する」「良い人材が集まる」「企業の持続性が高まる」「仕事への意欲が高まる」…。そのためにどうすれば良いか。
PDCAサイクルも重視し、年1回、アンケートを10社ずつ取り、課題や改善点を洗い出している。
同社は、デザイン性や機能性に優れたユニフォームの普及自体をSDGsに位置付ける。そこで始めたのが、横浜市内の企業を撮影する企業応援プロジェクトだ。
ユニフォーム姿で働く人たちに焦点を当て、生き生きとした姿をプロのカメラマンがこだわりの技術で撮影した作品を紹介する企画。
企業からは、日々の業務を改めて見直す機会になったと好評で、「仕事への誇りを持ってもらえる」「職場の一体感が増した」との声が寄せられている。
これまでに五つの企業で撮影しており、撮影した写真は求人広告などで各社に活用してもらっている。

GO職場スターズ(ゴーショクバスターズ)で撮影した写真

GO職場スターズ(ゴーショクバスターズ)で撮影した写真

また、いじめ反対の世界的な活動「ピンクシャツデー」にも賛同。2月の最終水曜には従業員全員がピンクのTャツを着用して、いじめ撲滅を訴える。
「カナダでピンクの服を着た男子高校生がいじめられたのが、この活動のきっかけ。衣料を扱っている会社として、見過ごすわけにはいかない」と花本社長は話していた。

撮影後の集合写真

撮影後の集合写真

会員企業を紹介します④トライフ

2022年 12月 29日

横浜グリーン購入ネットワークの会員企業を紹介します。取材は記者の春名さんです。

第4回目は株式会社トライフ様。宇宙に進出した歯磨き剤をリリースされたバイオベンチャー企業です。障がい者の仕事創出も実現しています。

米国・フロリダのケネディ宇宙センターから今年10月6日、日本人宇宙飛行士・若田光一さんが搭乗した民間宇宙船「クルードラゴン」が打ち上げられた。「トライフ」(横浜市中区)が製造・販売する「宇宙歯磨き オーラルピース」が搭載された瞬間だ。国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中使用される。馬車道の歴史を感じさせるビルの一室のオフィスを訪ね、これまでの足跡を取材した。

「宇宙歯磨き オーラルピース」 

「宇宙歯磨き オーラルピース」 

トライフは、オーガニック化粧品ブランドのコンサルタントとして業界で知られる、手島大輔代表(52歳)が2006年設立した。13年に始動したのが「オーラルピース・プロジェクト」だ。

12年、末期がんを宣告された父が、抗がん剤の副作用で口腔内トラブルにより衰弱した。歯磨きの際、口腔用合成殺菌剤を誤飲したことがあり、とはいえ、水で歯磨きすると、トラブルの原因菌は退治できず、死亡のリスクは下げられない。そんな姿を目の当たりにしたことがきっかけだった。

それに先立ち、九州大学では、植物性乳酸菌由来の抗菌ペプチド「バクテリオシン」を発見、実用化の相談が手島代表に持ちかけられていた。

同大などの産学連携の研究グループがこれを製剤化し、特許を取ったのが「ネオナイシンe」。天然由来成分100%。虫歯や歯周病、口腔カンジダなどの原因菌への優れた有用性があり、のみ込んでしまっても体内で分解・消化されるのが特徴だ。

一方で、手島代表は、障がい者の「親亡き後」問題に熱心に取り組んできた。障がい者は親が亡くなった後、収入が少なく、経済的に自立していくことが困難という実態がある。手島代表自身の子どもにも障がいがある。障がい者の仕事創出と収入アップなくしてこの課題は解決しないと考える。

モノが売れる仕組みを作るのが得意なので、それまでもNPOをつくり、障がい者のものづくり支援や賃金アップに取り組んできたが、なかなか思うようにいかない状況が続いてきた。

そうして13年7月に発売されたのが、「オーラルピース」のジェルタイプとスプレータイプだ。

「オーラルピース」の各商品。ジェルタイプとスプレータイプ
「オーラルピース」の各商品。ジェルタイプとスプレータイプ

「オーラルピース」の出荷や納品、販売などの業務を任されているのが、全国の障がい者就労施設だ。

知的・精神障がい者らの就労支援に取り組む、新潟市の特定NPO法人「あおぞら」では、新潟県阿賀野市の就労継続支援B型事業所で、製造を請け負っている。事業所に通う約10人が、職員のサポートのもと、作業に携わっており、年間約1万本を作っている。同事業所では、化粧品製造工場認可を取得した。

東京都内の社会福祉法人「東京コロニー」東村山事業所(就労継続支援B型事業所)は、障がい者約80人が所属。卸売販売と梱包・発送業務を請け負っている。

東京コロニー東村山事業所での発送作業
東京コロニー東村山事業所での発送作業

公式オンラインショップでの購入者への発送作業や製品輸出の梱包作業にも携わっているほか、営業チームを組み、養護施設や病院などを訪問している。

同施設からの卸売販売には、クレヨンハウス、東急ハンズ、アーバンリサーチドアーズ、オーガニックマーケットがサポーター企業として協力している。

そのほか、横浜市内をはじめ、各地の施設が、施設内などでの販売や介護施設への納品を担当している。

同社のこうした取り組みが評価され、14年に「ヨコハマベンチャーグランプリ」最優秀賞、15年に「ジャパン・ベンチャーアワード2015」最優秀賞、17年に「グッドデザイン賞2017」、19年に「農芸化学技術賞」などを受賞した。

「ジャパン・ベンチャーアワード2015」を受賞した手島代表 
「ジャパン・ベンチャーアワード2015」を受賞した手島代表

「トライフ」という社名には手島代表のこだわりがある。

「TRY OUR LIFE」「TRY OUR FUTURE」などを略した「自分たちの人生や困難に挑戦し未来を拓こう」という意味と、「T’s Life」。「3人の障がい児の親となった手島代表の背負った使命と人生でなすべきこと」、 という意味だそうだ。

同社の社員はわずか3人だが、共感とともに集まった各界のプロフェッショナルである数百人のプロジェクトメンバーが支える。

「のみ込んでも大丈夫」という「オーラルピース」最大の利点は、水が非常に貴重な宇宙での生活にも応用できるはず。宇宙飛行士はこれまで歯磨き粉を吐き出すこともあったという。「オーラルピース」は、のみ込んでも大丈夫なので、水のない所でも使える。

JAXAが20年、宇宙生活での困り事解決のアイデアを募集すると、同社は応募した。その結果、ISSへの「搭載候補品」に選ばれた。

世界15カ国を超える国で、医療や小児歯科、アウトドアなどの分野で支持されてきた「オーラルピース」だが、さらに、ネオナイシンeを増量し、歯石が付きにくくするなど宇宙仕様に改良し、21年11月、「搭載品」に正式に選定されていた。

取材した日は、手島代表は不在。代わって、同社の経営統括顧問の加古良二さんが答えてくれた。次の目標について、「障がい者の社会参加と収入向上につながる、同様のビジネスモデルが、世界に広まるきっかけになってほしい」「手島代表は、将来は月や火星や宇宙ステーションでオーラルピースが販売されている姿を思い描いているはず」と話していた。

会員企業を紹介します③シュービ

2022年 11月 26日

横浜グリーン購入ネットワークの会員企業を紹介します。取材は記者の春名さんです。

第3回目は株式会社シュービ様。環境への配慮、先行的にSDGs宣言書を策定されている印刷会社です。

「印刷は環境に悪いもの。だからこそ、他社よりも環境を意識しなければ」。そう語るのは、印刷会社「シュービ」(横浜市都筑区川向町)の村田俊夫代表(62歳)だ。環境に配慮した取り組みは基本的に先行してきたという自負がある。「SDGs宣言書」を先ごろ策定したという同社を訪ね、これまでの歩みを伺った。

1981年、村田代表の父秀雄さんが、港北区日吉で、同社の前身「村田印刷」を創立した。母寿美江さん、当時学生だった俊夫代表とともに、写真店からの転身だった。

その6年後、有限会社シュービ印刷を設立。社名の「シュービ」は、父と母の名前から「秀」と「美」の一文字ずつ取って付けた。株式会社シュービとなったのは96年だ。

不安な船出だったが、大手スーパーの支店のチラシを受注したことをきっかけに、他店からも注文が入るなど、軌道に乗った。一時は同スーパーの仕事が9割を占めるほどだったという。「同業者の仕事を取ったのではなく、〝創出〟したのが自信になった」と俊夫代表は言う。

現在、年商約2億5000万円(2022年7月期)、従業員13人。「気の合ったお客さんと尊敬し合える取引をしている」(俊夫代表)という。

仕事の受注は、基本的にインターネットのみ。内容を充実させ、主要な検索サイトで、「印刷 横浜」と打てば、5位以内に入ることに注力しており、飛び込み営業などは行っていない。

環境への取り組みは、常に先駆けてきた自負がある。「SDGs(持続可能な開発目標)など、世の中が後からついてきた」と俊夫代表は胸を張る。

印刷は水を大量に使うが、同社では以前から、きれいに循環ろ過して何度も使ってから、最終的には廃液処理業者に委託している。

SDGs達成を掲げた東京オリンピック・パラリンピックを契機に、数年前からFSCⓇ森林認証紙の普及が急速に高まっているが、同社では、2013年には既にFSCⓇ認証マークを取得している。

同認証は、適正に管理された森林から産出した木材に認証マークを付けることで、持続可能な森林の利用と保護を図る制度。先住民族や労働者の権利を守り、フェアトレードにかなっている。

環境保護印刷推進協議会(E3PA)が定めた、一定の自主規律基準をクリアした企業や印刷物に認定される「クリオネマーク」も取得している。

オフセット印刷インキは「ノンVOC(揮発性有機化合物)インキ」を使っている。大気汚染の要因となる有害なVOCを含まないインキだ。

さらに、バナナペーパーの取り扱いも始めた。今までは捨てられるだけだった、南アフリカ産のバナナの茎から取ったバナナ繊維を原料に、古紙や森林認証パルプを加えて作られる、フェアトレードの紙だ。

同国の仕事創出につながり、従事者の貧困を解消することができる。再生のサイクルの速さも特徴で、切った茎は、一般の樹木と違って、1年以内に再生するという。名刺の印刷などに向いているそうだ。

また、「限りある資源を有効に活用し、必要なときに必要な数だけ印刷する」として、オンデマンド印刷にも力を入れている。

シュービは今年6月、阿波銀行(本店・徳島市)の勧めに応じ、「SDGs宣言書」を策定した。

ただし、宣言書で掲げるSDGsの取り組み目標には、この稿で紹介した、既に行っている環境への取り組みは、いっさい書かれていない。

世間では、既に行っている事業をSDGsのゴールに紐付けて体裁を整える向きがあるが、同銀行からの助言もあり、「それでは格好悪い」と考えた。

「SDGsは、仕事を欲しいからやるのではなく、自分たちがやりたいからやるもの。嫌なことをやらされるのはSDGsではない。強制されるのは持続可能にならない」と俊夫代表は話す。

例えば、「働きがい」の項目では、資格取得費用の補助を掲げたが、決して資格取得を義務付けるのではなく、従業員本人の意思を尊重する。「従業員ボランティア活動の促進」では、清掃などは、勤務時間外ではなく、時間内の空き時間で行うこととした。

また、宣言書では「情報漏えいの防止」を1項目設けた。仕事柄、個人情報を取り扱うことが多いが、漏えいしないのが当たり前なので、管理を徹底することで、顧客が安心してくれるからだ。

データの保管の際はタグ付けし、同じ場所に格納。アクセスできる者を限定し、定期的に削除する。従業員には年2回情報セキュリティーのテストを実施し、意識の向上を図ることにした。

俊夫代表は「人に必要とされない印刷業ではだめ。常に客が何を求めているか、アンテナを張っていかなくては」と強調していた。

①シュービの玄関には、環境関係の証書や登録書、社の方針などが、掲げられている。案内してくれたのは、同社の村田裕樹さん

①シュービの玄関には、環境関係の証書や登録書、社の方針などが、掲げられている。案内してくれたのは、同社の村田裕樹さん

②同社のオフセット印刷機。体に優しいインキを使っている

②同社のオフセット印刷機。体に優しいインキを使っている

会員企業を紹介します②湘南貿易

2022年 7月 23日

横浜グリーン購入ネットワークの会員企業を紹介します。取材は記者の春名さんです。

第2回目は株式会社湘南貿易様。廃プラのリサイクルを見える化に取り組み、スポーツイベントなどと連携されている企業です。

プラスチック再生機械などの輸入販売会社「湘南貿易」(横浜市西区北幸、橋本則夫代表取締役)が、スポーツイベントや学校への出前授業を通して、廃プラスチックのリサイクル普及に力を入れている。ペットボトルキャップ、PPバンドなど身近なものを再製品化(アップサイクル)することで、リサイクルを〝見える化〟し、ごみの分別・洗浄・回収の必要性を訴えている。

同社は関連企業の「エレマ・ジャパン」を含めて従業員40人。軟包材関連機械の専門商社として、欧州を中心に世界の最先端技術を日本に紹介する目的で、1997年に設立された。ノンアルコールのワイン・ビールの輸入販売も事業の柱に据える。

「プラスチック再生装置を販売していくなかで、リサイクルは分別が重要であること、それは機械ではなく皆さんの協力なしには成り立たないことを痛感し、その重要性や思いを伝えるためにエコロジー事業部を立ち上げた」と話すのは、同事業部の山本直さん。プラスチックのリサイクルをコーディネートするのが使命だ。

リサイクルの方法は①マテリアル②ケミカル③サーマル―の三つある。

「マテリアルリサイクル」は、使用済み製品などを新しい製品の原料として使うもので、エレマ社(本社・オーストリア)の再生装置を使う。日本では350台以上、世界で6000台以上の実績がある。

「ペットボトルtoペットボトル」のリサイクルを実現した。さらに、エレマ・ジャパンが代理店をするエレマ社とサントリーなどが協働し、ボトルを粉砕・洗浄したフレーク(薄片)から、ペレット(粒)を経ずに、直接プリフォーム(試験管状の中間製品)にする技術を開発、CO₂の大幅削減を図ることができた。基本的に単一素材化が条件。分別や異物除去の徹底が必須となる。

「ケミカルリサイクル」は、油化、ガス化、コークス炉化学燃料化などの方法があるが、同社では、油化装置をメインに提案している。対象がポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリシチレン(PS)のみと、限定的になるのが課題だが、現在PETやPAに対応する技術の開発を、テスト装置を準備して行っている。

「サーマルリサイクル」は、焼却の際に発生する排気ガスの熱エネルギーを回収・利用するもので、燃焼ボイラーを提案している。マテリアル、ケミカルの両リサイクルが困難な複合素材の廃棄物が対象となる。

このように、一口にプラスチックと言っても、リサイクルの方法も違えば、溶ける温度も違う。リサイクルの効率を高めるには、プラスチックの種類ごとの分別・洗浄・回収が重要だということを、広く知ってほしい。

そうして始まったのが同社のアップサイクルの取り組みだ。「消費者はプラスチックのことを分かっていない方が多い。作り方やリサイクル方法を見える化し、気づいていただくことを主眼に置いている」と山本さんは説明する。

導入したのは、プラスチックプレナー社(オーストリア)の小型の破砕機、押し出し・射出装置。「プラスチックはチョコレート」をキーワードに、金型のアイデア次第で、さまざまな製品に生まれ変えさせることができる。

2019年から、サッカーJリーグの横浜FCと一緒に始めたのが、「ペットボトルキャップ回収プロジェクト」。ホームゲームにキャップを50㌘持ってきてもらうと、キャップで製造した、選手の背番号が刻まれたキーホルダーやマスクストラップと交換する。サッカー観戦を通してエコやリサイクル意識を高めてもらうのが狙いだ。

e6b998e58d97e8b2bfe69893efbc914

横浜FCと一緒に始めた「ペットボトルキャップ回収プロジェクト」のブース

e6b998e58d97e8b2bfe69893efbc92

ペットボトルのキャップで作ったボタン、ピン、キーホルダー、色分別をして混ぜ合わせることでオリジナルのマーブル模様が作り出せる。

プロゴルファーの笹原優美プロとは、ゴルフを通じたエコの発信を共同で実施。ゴルフイベントでは、キャップを持参した人には笹原プロのオリジナルデザインの「Good manners = Better score」と湘南貿易がペットボトルキャップのリサイクルをブランディングした「Re MAKE cap」の文字の入ったマーカーをプレゼントした。

また、湘南国際マラソンにエコフレンドシップパートナーとして協賛している。前回大会で回収したランナー用荷物袋を、リサイクルして配布し、製造工程で排出されるCO₂は横浜ブルーカーボン制度を利用し、オフセットしている。そのほか、学校への出前授業・回収活動にも力を入れ、色ごとの分別が重要であることなどを伝えている。

山本さんは「悪者に扱われることもあるプラスチックから、私たちは豊かさを享受しているのも事実。分別・洗浄し回収することでごみでなく、資源に変わることを知ってほしい」と話していた。

e6b998e58d97e8b2bfe69893efbc93tate2

ペットボトルのキャップなどを加工するマニュアルインジェクション装置と山本さん

会員企業を紹介します①太陽油脂

2022年 6月 20日

横浜グリーン購入ネットワークの会員企業を紹介します。取材は記者の春名さんに行っていただきました。
第1回目は太陽油脂株式会社様。持続可能なパーム油を促進し、石けん教室や出張授業に力を入れられている企業です。

食用加工油脂、石けん・化粧品製造などを手掛ける「太陽油脂」(横浜市神奈川区守屋町)。
創業以来、植物油脂を原料にした、環境配慮型の商品作りを続けてきた。なかでも、持続可能性(サステナビリティ)のあるパーム油の使用推進には早くから熱心に取り組み、国内企業の牽引役ともなってきた。「人にやさしく、地球にやさしく」に懸ける同社のこれまでの歩みと思いを取材した。

①太陽油脂の商品を手に説明する堀江さん

①太陽油脂の商品を手に説明する堀江さん

「太陽油脂」の誕生は1919年、ヤシ油を販売した「東京搾油」が始まりで、今年で103年を迎える。
36年に「南洋貿易」と合併、39年にヤシ油からの石けん作りを開始した。現在の「太陽油脂」が設立されたのは、47年のことだ。
50年には日本初の食用のショートニング製造を始める。
同社に強い環境意識が芽生えたのは高度経済成長期だ。多摩川など多くの河川が汚染され、泡だらけになり、魚が浮いた。臭くて飲めなくなる水道水もあった。合成洗剤などが原因だった。
生協などが問題視し、環境に配慮した石けんを求めた。同社はそうした団体とともに、川などの汚染を防ぐため、川や海に流れても分解される、環境に優しい石けんの普及により一層努めた。
時代が進んで、2009年。東マレーシアの環境問題を取り上げた記事を読んだ人から問い合わせがあった。「太陽油脂のパーム油も東マレーシア産でしょうか」と。
パーム油は、アブラヤシの果肉から取られる、世界で最も多く生産されている植物油脂で、マーガリン、パン、アイスクリームなどの食品や、石けん、洗剤、化粧品などに使われる。インドネシアとマレーシアの2カ国だけで世界の85%が生産されている。
広大な土地が急速に開発された結果、①熱帯林伐採など自然の破壊と温室効果ガス排出②野生動物のすみかを奪う③子どもを学校に行かせないで働かせる―などの問題が起きた。
しかし、パーム油は面積当たりの収穫量が多いという利点があり、他の作物から同じ量の油を取ろうとすると、もっと広い土地が必要になる。よりひどい森林破壊につながるという。
同社の決断は、非営利組織RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)への加入だった。RSPOは、パーム油使用の有無よりむしろ「どのように生産するか」。持続可能な生産を促進することを目的としてWWF(世界自然保護基金)などにより、2004年に設立された。
11年3月に正会員として加盟。国内企業で11番目の早さだった。20年12月には同社の石けん・化粧品すべてがRSPO認証を受けたものになった。
現在では240~250社の国内企業が加盟するが、大規模イベント開催に主体的に関わったほか、日本市場での促進を図るため2019年4月に設立されたJaSPON(持続可能なパーム油ネットワーク)では、大企業に伍して、発足メンバーとして加わった。
同社原料購買・CSR推進グループの矢田馨さんと堀江菜月さんは「企業個別ではなく、日本全体で動いていくことが必要」と話す。

同社はSDGsの重点テーマとして8項目を掲げるが、「パーム油」のほかに、特に力を入れているのは、ESD(持続可能な開発のための教育)だ。
30年ほど前からユーザー相手に実施してきた工場見学は、10年ほど前から対象を一般へと広げた。石けん作り教室などを通して、環境に優しい製品で地球環境に貢献できることを伝えている。
教育機関などと連携して、小・中学校などへの出張授業も積極的に展開している。ゼロカーボン・ヨコハマを全市的ムーブメントに広げていく市民参加型プロジェクト「ヨコハマ・エコ・スクール」(YES)には2020年から登録している。
コロナ禍の感染予防策として手洗いの大切さに着目した、横浜市立瀬ケ崎小学校(金沢区)4年生(現5年)らや地元企業・団体と一緒に、同年から、オリジナルの石けんづくりに取り組んだ。「はまっ子未来カンパニープロジェクト」の一環だ。
給食の廃食油では思うようにいかなかったものの、小柴沖のコンブ、竹炭、ミカンの皮など、子供たちが主体的に素材のアイデアを出して配合した。同社では、リモートで児童らと会議を重ね、試行錯誤を続けていった。
そうして出来上がったのが「横浜金澤黒船石けん」。子供たちが刻印やパッケージも考え、3月からの販売にこぎつけた。
矢田さんは「一個の石けんから地球環境を考える―を合言葉に、これからも、子供だけでなく消費者とのつながりを強めていきたい」と話していた。

②瀬ケ崎小学校の児童らと作った「横浜金澤黒船石けん」

②瀬ケ崎小学校の児童らと作った「横浜金澤黒船石けん」

【第4期SDGs実装ゼミ】参加者を募集中【横浜市立大学主催】

2021年 9月 15日

横浜グリーン購入ネットワークでは修了生のSDGsビジネスがメディアなどへ掲載されるなど注目を集めるSDGs実装ゼミナールの第4期生の募集を開始いたします。

今年度も昨年度に続きまして、横浜市立大学の公式なエクステンション講座としてリモート会議システム「ZOOM」を用いての実施となります。
「SDGsへの取組み方が分からない」「CSR活動ではなく、ビジネスへSDGsを実装したい」という事業者を対象とした、月1回4カ月間のゼミナール形式の講座です。

企業がSDGsに取り組むべき理由としては以下が考えられます。

・SDGsの取組みをアピールすることで、企業イメージの向上、優秀な人材の確保につながる。
・地域課題の解決に貢献することで、経営リスクの回避、地域での信頼獲得につながる。
・SDGsがビジネスの世界で「共通言語」になりつつある。個別の企業においても取組が広がってきている。
・投資の条件として、収益だけではなく、SDGsに取り組んでいるかどうかも確認される時代になりつつある。
・SDGsから国際社会のニーズを読み解くことが可能であり、新規のビジネスチャンスやパートナーシップ構築につながる。
・長期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開による成長可能性が高まる。

受講をご希望の事業者様は以下【募集要領】をご確認いただきまして、エントリーをお願いいたします。

第4期横浜SDGs実装ゼミナールご案内

【募集要項】

① 募集数:今年度は1グループ10社~30社程度の合同勉強会と致します。

② 費用 :「横浜市立大学のエクステンション講座」につき無料

横浜グリーン購入ネットワークでは、SDGsに関する様々な情報をお届け差し上げるほか、会員間のビジネスマッチングなどの機会を設ける予定につき、
ゼミ参加者(団体)におかれましては、ネットワークへのご入会をおすすめしております。

会費(18,000円/年~)は以下GPNの会費案内をご参照ください。

https://www.gpn.jp/admission/fee.html

③応募方法: 件名に「SDGs実装ゼミナール参加希望(社名)」をご入力の上、下記のメールアドレスまで送信をお願いいたします。その際、参加される方の、「お名前」、「ご所属」、「お役職」、「ご連絡先電話番号」も あわせてお知らせ願います。

応募メールアドレス : info@y-gpn.org

③ 締切 :10月22日(金)17時 第1回は10/28開催となります。

企画監修 / 影山 摩子弥(横浜市立大学大学院都市社会文化研究科教授)
主催 / 横浜市立大学地域貢献センター
共催 / 横浜グリーン購入ネットワーク

【参考】
「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド(環境省)」http://www.env.go.jp/policy/sdgs/index.html

第3期SDGs実装ゼミナール2020実施報告【第5回】

2021年 2月 16日

【第5回 開催報告】
日 時:2021年2月16日14:30~16:30 Zoomにて開催
参加者:38名
内 容:
〔1時間目〕個別発表
学生が春休みに入っているため、参加者が少なくなりました。
前回(第4回)の2時間目は、各グループ企業が新たに取り組むことができるSDGsがないかをテーマに、グループワークを行いました。
第5回目の1時間目は、新たに取り組むSDGsを記載する「SDGs事業創造表」の発表となりました。4社の皆さんが発表し、各社に対して池田事務局長から丁寧なコメントがつけられました。また、影山会長からは、この春に国連から発行される予定であるSDGsの認定基準であるSDG Impact Standards、および、横浜市のSDGsの認定制度であるY-SDGsについての解説がありました。

〔2時間目〕グループワーク
最後の課題である「SDGs計画表」の作成のためのグループワークを行いました。各グループの企業の「SDGs整理表」と「SDGs事業創造表」を共有し、それをSDGs用の事業計画表に落とし込む作業です。目的・目標や評価指標の設定作業があり、取り組みを転記すればよいわけではなく、企業にとって、経営戦略として実装していく作業となりました。
重い作業になるため、多く時間をとったので発表企業は2社でしたが、池田事務局長からきめの細かいコメントがあり、発表者以外の企業にもわかりやすいものでした。

〔次回に向けての宿題〕自社の「SDGs計画表」を作成してくる。
*「SDGs計画表」の提出をもって、「SDGs実装ゼミナール」の修了証が授与されることになります。

SDGs実装ゼミナール2020実施報告書(第5回)

第3期SDGs実装ゼミナール2020実施報告【第4回】

2021年 1月 19日

【第4回目開催報告】
日 時:2021年1月19日14:30~16:30 Zoomにて開催
参加者:45名
内 容:
〔1時間目〕個別発表
前回の後半は、自社がこれまで取り組んできたSDGsの自己評価を行うグループワークを行いました。「SDGs整理表」には、自社のSDGsがどのターゲットにどのように貢献しているかを記入する欄がありますが、それは自社の取り組みの社会的意義を意味します。しかし、SDGsは、『SDG Compass』で示されているように、経営的意味(ビジネスチャンスになるなど)があります。その経営的意味の面からも自己評価を行う作業が、SDGsの自己評価となります。
1時間目は、「SDGs自己評価シート」に記入してきていただいた自社のSDGsの自己評価結果を、Zoomで共有しつつ4社の皆さんに発表いただきました。1社欠席でしたが、学生が代わりに発表しました。
それぞれの報告に対して、池田事務局長および影山会長から、コメントがされました。
また、影山会長からは、内閣府が事務局となっている「自治体SDGs推進のためのローカル指標検討WG」が発行した「地方創生SDGsローカル指標」についての解説がありました。

〔2時間目〕グループワーク
まず、池田事務局長から、SDGsに取組む際に、社内で取り組み情報を共有する意義や取り組みを社外に発信する意味について、豊富な事例や分かりやすいプレゼン資料に基づいて、丁寧に解説がされました。
そののち、7つのグループに分かれ、各グループの企業が新たに取り組むことができるSDGsはないかを検討してもらいました。
グループワーク終了後、2社の皆さんにディスカッションの内容を発表いただきましたが、すでに、「SDGs事業創造表」に記入してしっかりした発表をするなど、受講生の水準の高さが示されました。

SDGs実装ゼミナール2020実施報告書(第4回)

第3期SDGs実装ゼミナール2020実施報告【第3回】

2020年 12月 22日

【第3回目開催報告】
日 時:2020年12月22日14:30~16:30 Zoomにて開催
参加者:47名
内 容:
〔1時間目〕6回講座の折り返し点に参りました。
自社のCSRがSDGsであるかどうかを整理する「SDGs整理表」を作成することが課題でした。1時間目は、記入してきた「SDGs整理表」をZoom上に投影させ、3社のみなさんにご発表頂きました。
発表された企業はターゲットレベルでCSRとSDGsの紐付がしっかりできており、しかも、難しい面もある作業なので、ターゲット間の連関構造については、記さなくてよいことにしておりましたが、連関構造までしっかりと記載されてきて、受講生の水準の高さに驚きました。それぞれの発表に対して池田事務局長から、これからの事業に直結するコメントがなされました。この講座は、SDGsの理解を深めるだけではなく、本業の充実につながる講座となっています。
また、影山会長からは、ターゲットへの貢献を判断する際、指標を見ることの重要性と、指標の見方、指標に関する注意事項が説明されました。

〔2時間目〕グループワーク
SDGsに取組む際は、どのターゲットにどのくらい貢献しているか、SDG Compassに記載されているような経営的意味が得られているかどうかを確認する必要があります。それがSDGsに関する戦略評価であり、それは自己評価として行われねばなりません。
2時間目のグループワークでは、「SDGs自己評価記入シート」を参照しつつ、各グループに参加している企業のSDGsの評価を行って頂き、1社に発表を頂きました。短い間に「SDGs自己評価記入シート」に記入され、受講者の参考になる発表でした。

〔次回に向けての宿題〕自社のSDGsがどのようにターゲットに貢献しているか、どのような経営的意味が得られているかを自己評価するための「SDGs自己評価記入シート」に記入してくる。

SDGs実装ゼミナール2020実施報告書(第3回)

↑ページの先頭へ戻る