会員企業を紹介します③シュービ

2022年 11月 26日

横浜グリーン購入ネットワークの会員企業を紹介します。取材は記者の春名さんです。

第3回目は株式会社シュービ様。環境への配慮、先行的にSDGs宣言書を策定されている印刷会社です。

「印刷は環境に悪いもの。だからこそ、他社よりも環境を意識しなければ」。そう語るのは、印刷会社「シュービ」(横浜市都筑区川向町)の村田俊夫代表(62歳)だ。環境に配慮した取り組みは基本的に先行してきたという自負がある。「SDGs宣言書」を先ごろ策定したという同社を訪ね、これまでの歩みを伺った。

1981年、村田代表の父秀雄さんが、港北区日吉で、同社の前身「村田印刷」を創立した。母寿美江さん、当時学生だった俊夫代表とともに、写真店からの転身だった。

その6年後、有限会社シュービ印刷を設立。社名の「シュービ」は、父と母の名前から「秀」と「美」の一文字ずつ取って付けた。株式会社シュービとなったのは96年だ。

不安な船出だったが、大手スーパーの支店のチラシを受注したことをきっかけに、他店からも注文が入るなど、軌道に乗った。一時は同スーパーの仕事が9割を占めるほどだったという。「同業者の仕事を取ったのではなく、〝創出〟したのが自信になった」と俊夫代表は言う。

現在、年商約2億5000万円(2022年7月期)、従業員13人。「気の合ったお客さんと尊敬し合える取引をしている」(俊夫代表)という。

仕事の受注は、基本的にインターネットのみ。内容を充実させ、主要な検索サイトで、「印刷 横浜」と打てば、5位以内に入ることに注力しており、飛び込み営業などは行っていない。

環境への取り組みは、常に先駆けてきた自負がある。「SDGs(持続可能な開発目標)など、世の中が後からついてきた」と俊夫代表は胸を張る。

印刷は水を大量に使うが、同社では以前から、きれいに循環ろ過して何度も使ってから、最終的には廃液処理業者に委託している。

SDGs達成を掲げた東京オリンピック・パラリンピックを契機に、数年前からFSCⓇ森林認証紙の普及が急速に高まっているが、同社では、2013年には既にFSCⓇ認証マークを取得している。

同認証は、適正に管理された森林から産出した木材に認証マークを付けることで、持続可能な森林の利用と保護を図る制度。先住民族や労働者の権利を守り、フェアトレードにかなっている。

環境保護印刷推進協議会(E3PA)が定めた、一定の自主規律基準をクリアした企業や印刷物に認定される「クリオネマーク」も取得している。

オフセット印刷インキは「ノンVOC(揮発性有機化合物)インキ」を使っている。大気汚染の要因となる有害なVOCを含まないインキだ。

さらに、バナナペーパーの取り扱いも始めた。今までは捨てられるだけだった、南アフリカ産のバナナの茎から取ったバナナ繊維を原料に、古紙や森林認証パルプを加えて作られる、フェアトレードの紙だ。

同国の仕事創出につながり、従事者の貧困を解消することができる。再生のサイクルの速さも特徴で、切った茎は、一般の樹木と違って、1年以内に再生するという。名刺の印刷などに向いているそうだ。

また、「限りある資源を有効に活用し、必要なときに必要な数だけ印刷する」として、オンデマンド印刷にも力を入れている。

シュービは今年6月、阿波銀行(本店・徳島市)の勧めに応じ、「SDGs宣言書」を策定した。

ただし、宣言書で掲げるSDGsの取り組み目標には、この稿で紹介した、既に行っている環境への取り組みは、いっさい書かれていない。

世間では、既に行っている事業をSDGsのゴールに紐付けて体裁を整える向きがあるが、同銀行からの助言もあり、「それでは格好悪い」と考えた。

「SDGsは、仕事を欲しいからやるのではなく、自分たちがやりたいからやるもの。嫌なことをやらされるのはSDGsではない。強制されるのは持続可能にならない」と俊夫代表は話す。

例えば、「働きがい」の項目では、資格取得費用の補助を掲げたが、決して資格取得を義務付けるのではなく、従業員本人の意思を尊重する。「従業員ボランティア活動の促進」では、清掃などは、勤務時間外ではなく、時間内の空き時間で行うこととした。

また、宣言書では「情報漏えいの防止」を1項目設けた。仕事柄、個人情報を取り扱うことが多いが、漏えいしないのが当たり前なので、管理を徹底することで、顧客が安心してくれるからだ。

データの保管の際はタグ付けし、同じ場所に格納。アクセスできる者を限定し、定期的に削除する。従業員には年2回情報セキュリティーのテストを実施し、意識の向上を図ることにした。

俊夫代表は「人に必要とされない印刷業ではだめ。常に客が何を求めているか、アンテナを張っていかなくては」と強調していた。

①シュービの玄関には、環境関係の証書や登録書、社の方針などが、掲げられている。案内してくれたのは、同社の村田裕樹さん

①シュービの玄関には、環境関係の証書や登録書、社の方針などが、掲げられている。案内してくれたのは、同社の村田裕樹さん

②同社のオフセット印刷機。体に優しいインキを使っている

②同社のオフセット印刷機。体に優しいインキを使っている

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